なぜ人は荒むと肉を煮込むのか

業務スーパー手羽元を買ってきて煮た。

手羽元の袋を開けたら、凍ったまま1kgまるっとフライパンに入れて、つぶしたニンニクを数片と、油も少し回しかけて、火をつける。表面にうっすら焼き色がついたら、マキシマムをたっぷりかけて、赤ワインを注いで煮る。マキシマムはすごく便利で、塩コショウといくつかのスパイスの入った調味料で、詳しくは各自でググってくれ。ここでキモとなるのは、肉の他にはニンニクと、マキシマム、赤ワイン以外に何も使っていないということだ。それなのに、めっちゃうまい。赤ワインだって、業務スーパーで1本300何十円だかの安物だ。ワインを飲んで、美味しいと思ったことなんて一度もないけど、ワインを煮込んだものはどうしてこんなに美味しいんだろう。

 

f:id:hungchang:20231221223313j:image

これは、煮込んだ手羽元をほぐして、ニンニクもスプーンで潰しきって、煮汁ごとパスタと和えたもの。うまい。

 

 

昔はこんなことしなかったなと思う。

こんなことというのは、煮込む前に鶏を焼いたり、煮込むのにもフライパンを使ったり、ということだ。だって最初から深い鍋に入れて煮たほうが楽じゃん。でも、焼き目をつけることで旨味が増すし、ワインもフライパンで煮ることでより煮詰められることになる。電気鍋で放置していてもきっとここまで美味しくはできない。たぶん。

YouTubeで料理動画とか見てると、特にフレンチ系の人なんかは、意味があるんだかどうだかわからない面倒くさいことするんだよね。どうせ混ぜるのにいちいちすべてに下味をつけたり、わざわざ焦げ付かせては水分をかけてこそげ取ったり。あんまり意味なさそうなんだけど、でも真似してみるとやっぱりうまいんだよね。どういう理屈だよ。

 

マイタケを焼くのも真似したらめっちゃ美味しくなった。マイタケを買ってきたら、適当にちぎって、フライパンにぶっこんで、ただただ炒る。熱を加えることで旨味が爆上げされて、水分がとんで歯ごたえも良くなる。焦げないように炒るのは案外と面倒くさい。ある程度炒っているとフライパンがベタついてきて、これ以上やると焦げつきそうだなと思って止めるんだけど、でもまだけっこう水分を含んでいて、うちにもオーブンがあればもっと水分を飛ばせるのに。だからけっこう面倒くさくて、時間もかかるし、それでもベストコンディションにまではもっていけてなさそうなんだけど、でもやっぱり美味しい。美味しくなるのがわかっているなら、面倒くさいけどやらないわけにはいかない。その美味しさを買おうとするといくらかかるものやら。