怖い話

マスクを外すとか外さないとか、外国人観光客を受け入れるとか受け入れないとか、確固たる意見を主張できる人が多くてすごいなあと思っている。

ロックダウンをするとかしないとか言っていた2年前から、そんなことできるわけないじゃん、数年で回復なんてできるはずないんだし意味なくね、って思っていたのが、それでも世間では(法的強制力をもたせるかどうかは別としても)外出をするな、隔離を徹底せよ、というのが風潮となり、自分一人ズレていた感覚をそちらに合わせようとしていたらこのザマである。

結局のところ、無茶しすぎたからやっぱりやめよう、というのが今の動きなんじゃないか。それが真実であるかは知りようもないけれど、私にはそう見えてしまう。けれども、やりすぎだったわごめんね、とは誰も言ってくれない。答えは得られないままでも、社会は少しずつ活気を取り戻しつつある。何を根拠に自粛をさせられ、それを解かれたのかもわからないままに。何が正しいのかもわからないまま右往左往させられて、それでもなお持論を掲げられる人たちが少なからずいて、すごいなあと思う。

「すごいなあ」という言い方はずるいな。斜に構えていてずるい。たしかに皮肉を込めているところはあるんだけど、本当にすごいと思っている部分もあって、だって私にはわからないんだから。「わからない」というのもどこか格好をつけた言い方で、ほとんど確信をもって「無茶な規制をしようとしたけどやっぱり無茶だったからやめた」だと思っているんだけど、それが正しいという根拠はひとつもなく、なのにそう考えてしまっていることを恐れている、という言い方が実情に近いかもしれない。右往左往するこの社会で、それを解釈せずに付き合わされることに精神が耐えられない。だから考えなければならないんだけど、そのためには材料が少なすぎて、陰謀論と大差ない観念に襲われる。怖い。