新聞社サイトのサブスクリプションが案外安くて驚いた件

みんなニュースにぜんぜん金払ってなくてやばくね?という話。収益を得られず新聞社が次々潰れて、無くなってしまっては困る。

 

news.yahoo.co.jp

 

↑ インターネットニュースの有料サービスの利用状況(複数回答)(2023年度)

利用していないと断言している人が92.9%と圧倒的多数。アプリゲームの課金やインターネット通販の利用などインターネットのサービスでお金を使う人は多いはずだが、インターネットニュースに限るとほんのわずかでしかない実情が分かる。有料の電子新聞や新聞記事の購入者は4.1%、新聞以外の有料ニュースサイトやアプリは1.4%、雑誌の有料記事にいたっては0.7%でしかない。

なおいずれの様式にせよ利用している人の合計は男性で6.9%、女性で4.8%。全体値は非公開だが加重平均で概算すると5.8%。月ぎめによる(紙媒体の)新聞購読者率58.1%と比べればずいぶんと低い値だ

 

まず驚いたのは、新聞紙面の購読者が50%超あること。標準的な家庭を持てば新聞を取るようになるものなのか? そんなことない気がする。どうやら高齢者のいる世帯が全世帯数の50%弱あるらしい*1ので、なるほど、そう考えると不思議でもない気がしてきた。

有料ニュースサービスが利用されていないことに関しては、まあそうだよな、と思ってしまう。無料サービスで相当程度にニュースを得ることができるし、有料サービスの価格が高すぎる問題もある。無料サービスでいくらか不満を覚えたところで、有料サービスに踏み出すまでのハードルが高すぎるのだ。あるいは、紙面を刷って、それを各家庭に配達するという莫大なコストを抑えられているはずなのに、紙面購読価格に対して割安感が乏しい。これでは金を支払いにくい。

と思っていたんだけど、実際には私が思っていた以上に新聞社のwebサービスには安価なプランが設けられていた。

 

たとえば朝日新聞の場合、紙面の購読が税込4,900円。紙面と同じビューアー閲覧を含むプレミアムコースが3,800円。紙面ビューアー以外をほぼ無制限で見られるスタンダードコースが1,980円。閲覧可能数が50本/月 までのベーシックコースなら980円となっている。*2 毎日新聞にいたっては、980円(税込1,078円)のスタンダードプランで閲覧数制限なく有料記事を読むことができてしまう。*3 ちゃんと安いじゃん。てか毎日3桁更新される記事を月1,000円で読み放題ってちょっとどうかしてるレベルでは。とはいえそんなに目を通せるわけもないので、数はさほど強い魅力でもないのだけれども。

 

結局のところ、目を通せないんだよなあ。無料記事ですら目を通しきれない。テレビやラジオとも競合する。だから、ある程度のクオリティをもった記事が、ある程度安く読むことができたとしても、なかなか金を支払おうとはなりにくい。

その点、日経は強い。ビジネスニュースの厚みが他紙とは圧倒的に違う。ネットでは叩かれがちではあるけども、各経済誌と比べても十分な優位性を持っているように見える。だから価格設定も強気だし、それでも十分な収益が得られている。

 

他方で販売部数トップの読売新聞もすごい。なんとweb版の購読プランが存在しないのだ。紙面を購読することでwebは無料で読むことができるというていをとっている。*4 特別な強みや独自性があるわけでもない新聞社*5が、ただ既存の購読者数だけをもって、こんな強気な方策をとれているのには驚く。それとも何か思いもよらない戦略プランがあるのかしら。