面倒くさい

骨は母の実家に預けた。母が帰りたがっていたからだ。母がそんなにも出生の地が好きだったとは知らなかった。私にとっては石神井こそがホームであるのに、母にとってはそうではなく、帰りたかったんだというのはいくらか寂しさがないわけでもない。

荷物は家主とその仲間たちが片付けてくれると言うのでありがたい。これで直近ですべきことはひと通り済んだ。たぶん。本当だろうか。わからない。

どうしてみんな、あんなにしっかりとすべきことを把握して、動けているんだろう。私だけが、何をすべきかわからず、ひとり呆けていた。私なんかよりきちんと死を悲しみ悼んでいる人ばかりなのに、今必要なことをきちんと理解している。あの姉ですら。まともな人間付き合いをしていればわかるものなんだろうか。早く人間になりたい。

あとは役所系の手続きが残っている。これは今日明日でやらなければならないわけではない。ないんだけど、この後は仕事が繁忙期に入り、十分な休みを取ることも難しいので、今日明日でやる以外の選択肢はない。面倒くさい。

ここで面倒くさいとか言うから、いつまでも人間に至れないんだろうか。でも面倒くさいものは面倒くさい。