水が止められた

パスタを茹でていた。ゴマとめんつゆとマヨネーズで和えた冷たいパスタを食べようと思っていた。茹で上がったパスタをザルにあけて流水で冷やす。

しかし、水が出ない。

いくら蛇口をひねっても出てこない。水道が止められている。料金を払ってなかったか、とも思ったけどもそもそもうちは井戸水であり、上水道料金はかからない。ではなぜ? 沸かすときには水が出たのだから、止められたのはこの数分のことだ。ならば、と外に様子を見に行く。するとアパートの壁にははしごが掛けられている。見上げると、ガス給湯器らしきものをいじっているではないか。

水を止めているのかと聞くと、そうだと言う。配管が劣化して水漏れしているのだそう。すぐ戻しますとは言ってもらえたが、その"すぐ"は麺が伸びるまでの間には来まい。仕方がないので、さっき麦茶を仕込んだボトルを冷蔵庫から出し、薄っすらと色づき出した水で茹で上がった麺を冷やす。そうしてようやく冷やせたパスタを食べていると呼び鈴が鳴り、とりあえず一旦使えるようにしました、でももう一箇所直さないといけないんでもうしばらく止めなければなりません、と業者さんが話す。なるほど、それならばと麦茶を再度仕込んで、使った鍋には水を張っておく。必要な分は使ったので大丈夫です、と業者さんに伝える。するとまたあっという間に水は止まった。

食事を終えてトイレに行く。用を足して、水を流す。タンクには水が溜まっていたので、便器内はきちんと流れていくが、供給が止まっているのでタンクに水が補充されることはない。これからが本当の地獄だ……。