元首相が襲撃された件で、民主主義の否定だ冒涜だといい、そのことを理由に許せないと言われるのが、どうも腑に落ちない。

民主的手法によって選ばれている政府が、その権力の根拠たる要件を反故にするような振る舞いに対して「民主主義の否定であり許せない」というならわかる。法に定められた国会からの要請を無視したり、あるいは法的根拠のない人事権を振りかざしたり、国会で偽証をはたらいたり、提出を求められた資料を破棄したり、そうしたことは民主主義の否定であり、冒涜であり、許しがたい行為だろう。でもそうじゃなくて、一市民が民主主義を否定したり、冒涜したりすることは許されないようなことでは全然ない。

問題なのは民主主義の否定ではない。あくまで行為。暴力が悪。合法的な方法で民主主義を否定するのであれば、もちろんその意見が論駁されることはあるだろうけど、「許されない」ようなことではないと思うんだ。