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出生率2.07になんて届かないし、それでも20万人の移民が必要

数日前の記事。久しぶりに酷いものを見た。
 
 
受け入れる移民は毎年20万人でいいという。順調に出生率が回復した場合、毎年20万人の移民を受け入れるだけで、現在の人口規模を将来的にも保つていけるよ、といったことが書かれていた。あれっ?って思った。それっぽっちでいいんだってけ。いくら出生率が上向いたところで、20万人ぽっちじゃ焼け石に水だと思っていたけど、それだけの移民で間に合うとは驚いた。
ところがだ。記事を読み進めていくとそうじゃない。やっぱり20万人じゃ全然足りない。お話にならない。誰だよこの記事書いた奴は。責任者連れて来い。
移民20万人の前提となる数字がおかしい。「出生率も回復すれば」とかいうレベルじゃない。2.07ってどういうことだよ。1970年代前半の第二次ベビーブームの頃の数字じゃないか。すべての夫婦が2人ずつ子供を持ってもまだ足りない。独身女性が一人いるごとに、3人以上の子供を持つ母親がその倍多くいないといけない。現在1.41のものがどうやって2.07まで回復できると思ってこんな数字を出したんだ。はっきり言って、2.07は到底不可能だし、移民20万人じゃあ全然足りない。
 

f:id:hungchang:20140301195600j:plainファイル:日本 出生数と合計特殊出生率の推移.jpg - Wikipedia

 

現状で1.4の出生率が1.4倍に上がってようやく2.0になるかならないかという数字だ。出生数が104万なので、出生率2.0までだいたい40万人足りない計算になる。この40万人を補えれば人口を保つことができるのが本来だけど、既に40年間の少子高齢化の結果、人口構成が歪んでしまっているのでまだ足りない。それを補う数字が朝日の記事に出た移民20万人だ。つまり現状のままの出生率が続けば、人口を保つためには60万人の移民受け入れが必要になる。

 

この記事への反応で多かったのは、移民受け入れ反対の声だ。そりゃあ俺だって別に外国人が好きなわけではない。たとえ彼らが日本語を喋れたとしても習得してきたコンテキストが違うとコミュニケーションは楽じゃない。国内の法秩序に順応する可能性も高くないし、実際に欧米では移民との大小の衝突が起こり続けている。仕事だって奪われるだろうし、下手したら福祉までも奪われていく。

じゃあこのまま日本は縮小していくべきなのか。たしかに日本には人が多い。多すぎる。通勤電車に乗れば、半分くらい死ねばいいのにと思うこともある。だけど本当に人が半減してしまっては、今の日本の地位は守れない。規模は強さだ。だからEUも経済統合を進めている。人口減少が進めばスケールメリットは失われ、国際競争力は低下していく。外貨は国外に流れていき、国債も国内で賄えきれなくなるかもしれない。人口を減らしながら一人あたりGDPを保つことなんて不可能に近い。経済規模が小さければ多様性も保てない。田舎でイオンモールしか選択肢のないような状況が、日本中で起こるようになる。都心に出れば他の選択肢もあるだろうが、顧客の激減したニッチ市場で商品価格は跳ね上がり、誰もが手にできるような品ではなくなっていく。豊かさが失われる。

そうならないためには人口を保たなければならないし、出生率を上げなければならないし、移民を受け入れなければならない。移民受け入れと子育て支援とどっちがいいとか言っている場合じゃない。どっちも必要なんだ。どっちも黙っていたって増えやしない。国を上げて推進していかないといけない。もうとっくにそういう時期に達している。なのに出生率2.07を前提とした糞記事では、コトの重大さがひとつも伝わらない。それくらい我慢すれば、もう少し頑張れば、といった勘違いを生み出すだけだ。もうそんな悠長なことを言っていられる段階じゃない。