ファイル:日本 出生数と合計特殊出生率の推移.jpg - Wikipedia
現状で1.4の出生率が1.4倍に上がってようやく2.0になるかならないかという数字だ。出生数が104万なので、出生率2.0までだいたい40万人足りない計算になる。この40万人を補えれば人口を保つことができるのが本来だけど、既に40年間の少子高齢化の結果、人口構成が歪んでしまっているのでまだ足りない。それを補う数字が朝日の記事に出た移民20万人だ。つまり現状のままの出生率が続けば、人口を保つためには60万人の移民受け入れが必要になる。
この記事への反応で多かったのは、移民受け入れ反対の声だ。そりゃあ俺だって別に外国人が好きなわけではない。たとえ彼らが日本語を喋れたとしても習得してきたコンテキストが違うとコミュニケーションは楽じゃない。国内の法秩序に順応する可能性も高くないし、実際に欧米では移民との大小の衝突が起こり続けている。仕事だって奪われるだろうし、下手したら福祉までも奪われていく。
じゃあこのまま日本は縮小していくべきなのか。たしかに日本には人が多い。多すぎる。通勤電車に乗れば、半分くらい死ねばいいのにと思うこともある。だけど本当に人が半減してしまっては、今の日本の地位は守れない。規模は強さだ。だからEUも経済統合を進めている。人口減少が進めばスケールメリットは失われ、国際競争力は低下していく。外貨は国外に流れていき、国債も国内で賄えきれなくなるかもしれない。人口を減らしながら一人あたりGDPを保つことなんて不可能に近い。経済規模が小さければ多様性も保てない。田舎でイオンモールしか選択肢のないような状況が、日本中で起こるようになる。都心に出れば他の選択肢もあるだろうが、顧客の激減したニッチ市場で商品価格は跳ね上がり、誰もが手にできるような品ではなくなっていく。豊かさが失われる。
そうならないためには人口を保たなければならないし、出生率を上げなければならないし、移民を受け入れなければならない。移民受け入れと子育て支援とどっちがいいとか言っている場合じゃない。どっちも必要なんだ。どっちも黙っていたって増えやしない。国を上げて推進していかないといけない。もうとっくにそういう時期に達している。なのに出生率2.07を前提とした糞記事では、コトの重大さがひとつも伝わらない。それくらい我慢すれば、もう少し頑張れば、といった勘違いを生み出すだけだ。もうそんな悠長なことを言っていられる段階じゃない。