考えておいてください

母の入院する病院から電話が入る。意識が朦朧としていて良くない状態が続いているので、病室をナースステーションの中に移して様子をみたい、という。アンモニアが脳に回ってしまっていて、取り除く措置はとっているが、すぐに容態のわかるようにしておきたいそう。断る理由もあるまい。お願いしますと伝える。あわせて、面会は何時まで可能かと聞くと19時までだと言うので、それなら帰りに寄ろうと思った。

そうして夕方、再び病院からの着信。造影剤投与の承諾をほしいとのこと。どうやら血便が出ているらしく、どこが悪いのか確認が必要だという。それなら今から行くよ、1時間くらいで着くと思うと伝えるが、それじゃあ遅いと言う。電話で内容伝えるから、サインはあとで書いてくれ、と。無茶言うよなあと多少イライラしてくるんだけど、でもそれが最善よね、無茶してくれてる分感謝しないといけないところなのかもしれない。

病院に着く。ナースステーションに行くと、ドクターから話があるから少し待っててくれと言う。30分くらい待つと声がかけられ、あそこは何だ、まあなんか奥の部屋に通される。

CTの画像を見せられる。見たってよくわかんないんだけど、これが肝臓ですねって指されたところはなんかそういう臓器があるのかなってくらいハッキリと大きな影がいくつも移る。思わず笑って、こんなに大きいんすね、って声が出る。

そうなんです、と続けられる。肝臓が本来の1割くらいしか機能してなくて、本来は分解されるはずのアンモニアが血中に流れて脳に回ってしまっているんです、と。なるほど。それで昼間もアンモニアと言っていたのか。認知能力の急な低下はそのせいだったのか。いろいろと繋がってきた。モルヒネのせいじゃねえじゃねえか。

血便の原因となるような大きく悪いところは見つからなかったという。その分、簡単に血が出る状態にあるということだ。今は止まっているようだけど、またいつ出血するかわからない。一時的な出血であれば輸血で補うこともできる。だけども問題なのは、輸血をすれば回復するようなものではないということだ。

ドクターは言う。例えば心停止した場合、我々は心肺蘇生措置をとります。それで回復するのであれば、当然に蘇生措置が必要です。でも、高齢の方の場合、体力が落ちていれば心臓マッサージをすると肋骨がバキバキ折れます。それでも蘇生するのはほんの短いあいだです。またすぐに同じことになります。それでも蘇生措置を取り続けるのかということです。こちらではできる限りのことはしますが、家族の方も考えておいてください。