特商法における再勧誘の禁止とは

不在着信履歴が残っており、その番号をググるニチガスだった。ニチガス、つまりは日本瓦斯株式会社は首都圏を拠点としたプロパンガスなどを扱う会社で、住んでいるアパートが何年か前からニチガスに切り替えたので、私もニチガスと契約してガスを利用している。

これまでにニチガスから電話があったことは、たぶん3〜4回あって、そのすべてが電気契約の勧誘だったので、おそらくは今回も同様だろうと思われる。しかし、ニチガスほどの大きな会社が、こんなに何度も勧誘の電話を掛けてきていいのだろうか。*1

特定商取引に関する法律というものがある。訪問販売などでの消費者保護を目的とした法律だ。その第17条に再勧誘の禁止が定められている。

(契約を締結しない旨の意思を表示した者に対する勧誘の禁止)
第十七条 販売業者又は役務提供事業者は、電話勧誘販売に係る売買契約又は役務提供契約を締結しない旨の意思を表示した者に対し、当該売買契約又は当該役務提供契約の締結について勧誘をしてはならない。 特定商取引に関する法律 | e-Gov法令検索

だから普通に考えると、断っているのにまた掛けてくるのは違法行為じゃないかと思うんだけど、そうは言ってもこの法律、たとえば金融商品や通信契約なんかは対象外だし、事業者向けのものも認められなかったりと穴が多いのは知っていたので、いちおうググってみる。すると消費者庁サイト内に「特定商取引に関する法律第3条の2等の運用指針」というPDFが見つかる。

「勧誘をしてはならない」とは、その訪問時においてそのまま勧誘を継続するこ
とはもちろん、その後改めて訪問して勧誘することも禁止されるという意味である。
同一会社の他の勧誘員が勧誘を行うことも当然に禁止される。

なお、同じ商品等の契約であっても、例えば、数ヶ月から1年単位での契約が
通常である商品等については、その期間が経過すれば別の商品等の契約と考えられ、
また、季節毎の商品の入れ替えや毎年の新機種の市場投入がある商品等については、
商品の旧型化による価格低下等が生じるおよそ数ヶ月や1年が経過すれば、別の商
品等の契約と考えられるなど、その商品等の性質等にかんがみて、相当な期間が経
過した場合は、実質的に別の商品等の契約であると考えられる場合もある。 

130220legal_4.pdf

なるほどなあ。

これはたとえば布団を売るんだとした場合、11月には5万円で売っていた羽毛布団も、3月には同じ値段では売れるわけもなく、同じ品を1万円で販売しますというのであれば同じ商品販売契約ではないよね、というのはもっともらしい。

でもこれが、電気契約にも当てはまるんだろうか。電気料金はある程度の変動があるとはいえ、季節によって大きく変わるというものではない。新しい料金プランが出されたというのならば別の商品であるとも呼べるだろうけど、おそらくはそんな新プランも存在しないだろう。

だけども、「今月だけのキャンペーン」のようなものはありそうだなとも思う。そういう場合は「別商品」とみなすことはできるんだろうか。また、実際にニチガスはそう頻繁に電話を掛けてきているわけでもなく、電気契約の「性質をかんがみて、相当な期間が経過した」ことを確認した上での入電だったのかもしれない。ううむ。

*1:仮に繰り返される勧誘電話に法的な問題があったとして、東京電力だって行政処分を受けているんだからそう不思議なことでもない。 特定商取引法に基づく消費者庁からの行政処分に対する当社の対応について|プレスリリース|東京電力エナジーパートナー株式会社