不謹慎の話

人死が出ると急に神妙になる人たちがいる。身近な人の死でもないのに。大して悲しくもないのに。

自分の業を反省して態度を改めているというのならわかる。
でも、どうやらそうではない。
普段通りの人を不謹慎だと非難したりしている。喪に服しているわけでもないのに。

身近な人が死ぬのは悲しい。
でも、そうでない人は、いつもどこかで誰かが死んでいる。今この瞬間にも。
そのすべてを慈しむ人がいるなら素晴らしいことだと思う。僕にはとてもできない。
現実には、ランダムに目についた死だけを取り上げて、勝手に陰鬱になり、周りにそのネガティブを強要する人の方が多い。

その感情が理解できない。

どうして彼らはどこにでもある死を拾ってきては祀りあげ始めるんだろう。
どうして彼らはその祭りに強制参加させたがるんだろう。
どうして彼らは日常に転がっている無数の死を見ようとはしないんだろう。
幸せの青い鳥じゃないが、死はもっと手近なところに転がっている。