科学的な話

今さらのことでしかないけど、最近またモヤる言説が増えてきたような気がして。

たとえば「五輪開催で感染拡大のリスクが高まる」というのは"科学的"かもしれないけど、「だから五輪は開催すべきでない」というのはちっとも"科学的"じゃない。もちろんここで言う「科学的じゃない」というのは、「科学の知見と合致していない」という意味であって、「科学の知見に反する」ということを意味するのではない。科学とは関係なく、その人の意見に過ぎないよね、ということ。

「専門家」という言葉もすごく雑に使われている印象が強い。数理モデルの専門家がモデルについて、防疫の専門家が防疫について語るのなら、それは紛れもなく専門家の意見なんだけど、彼らが語る政治政策は、それは果たして専門家の意見なんだろうか。彼らの訴えが叶わなかったとき、しばしば「専門家の意見を無視して」などと言ってしまいがちだけれど、閣僚・国会議員・首長こそが政策に関する専門家なのではないかしら。

もちろん医師というだけでCOVID-19に詳しいわけではないように、政治家にもそれぞれ得意とする分野がある。政治家であるというだけで専門家であるとみなすのは無理があるかもしれない。であるならば医療行政に長けた専門家に存分に腕を奮っていただきたいところであるのだけど、そういう人はいったい今どこで何をしているんだろうか。