鳥だ!飛行機だ!ブックマークコメント大賞 2018

はい。そうです。今年もそういう季節です。

近年は他にも同趣旨のブログエントリーが複数あり、私もそんなにブックマークコメントを読み込めていたわけでもないので、今年は掲載作を絞り込む方向性にしました。

 

 

娘の名前

「おとうさんが ますだ をつかって、とらば と ぶこめ で たくさんのひとが ひっしにかんがえてくれたなまえを、わたしはだいすきです」のところで泣いた。

2018/03/03 08:37

b.hatena.ne.jp

 

ブックマーク先の記事はシンプルで、「『起きてるだけで丸儲け』が座右の銘なんだけど、娘の名前は何がいいと思う?」 というだけの増田。トラバでもブコメでも当然のように娘の名前を考えた記述(ネタ)が並ぶ。yooks氏には「なんでこのネタにここまでブクマとコメントがつくのか問題」と言われるほどに。*1 そうした中で現れたのが、kijtra氏のコメントである。

これは一見ありがちなコメントだ。「~で泣いた」はもはやテンプレ的であり、「~で」の部分が実際には存在しないものを書くこともさほど珍しくはない。

カギ括弧の中、存在しない引用文の内容もまたありがちなものだ。きっと娘から父親への手紙だろう。小学校の課題なのかもしれない。「わたしはだいすきです」で締めくくられた手紙は実に感動的であり、テンプレ的だ。だがこの内容、いい話のようでもあるが、とても酷い。「お父さんが増田を使って、トラバとブコメでたくさんの人が必死に考えてくれた名前」である。これは酷い。これは泣くわ。

この、とても酷い内容をさもいい話風のテンプレートで装飾したコメントを、それまでのブコメの流れを完全に断ち切っての投入。発想力も構成力も常人のそれではない。これは歴史に残るベストブコメだろう。

 

 

 

斗比主さんとhagexさん

まさか斗比主の中の人が低能先生だったとは、夢にも思わなかったよね

2018/06/27 22:42

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残念な事件があった。hagex氏*2が殺された。*3 はじめは多くの人が半信半疑だっただろうが、これほどまでに界隈で騒がれて、それでも沈黙を保ち続ける彼ではない。リアルの彼を知る人からの、追悼文ではない何か*4が投稿されたところで疑いようもなくなった。

しかしもう一人、沈黙を続けるネットウォッチャーがいた。それがtopisyu氏*5だった。もしかしたらhagex氏とtopisyu氏は同一人物であり、今回の事件でtopisyu氏も失ってしまったのではないかと不安を綴った増田に付けられたのがこのブックマークコメントだ。

増田は犯人に殺された可能性を心配しているにもかかわらず、ChieOsanai氏はtopisyu氏が犯人のほうであり、身柄を拘束されているので更新が無いのだと主張。「思わなかったよね」という、まるで共感しているかのような姿勢ではあるが、増田の記述とはまったく異なることが書かれている。人が一人死んでいるのに、この不謹慎な態度はなかなか取れるものではない。

しかしこの不謹慎さである。これこそが今我々に欠如しているものであり、また目指すべき姿なのではないか。我々に必要なものは情報価値であり、あるいは正しさであり、または面白さである。間違いがあれば正し、ネタがあれば弄るべきなのだ。有名はてなユーザーの死を前にしたからと、いつまでもクネクネしてはいられない。馴れ合いなんて糞食らえだ。そう教えてくれるコメントだった。

 

 

 

年収で語るんじゃなくて満州で語れよ。 anond:20181128232241

今日気づいたが、満州国が存続してたら当然、国債を発行したり債券市場が開設されたりしたはずであり、一方USAに関する経済ニュースで「べい国債販売」とか「べいこく債券市場」等と略称を使うことから類推すると(略

2018/12/01 15:05

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ただの駄洒落であり、ただの下ネタ。だけれども、そうと思わせないこの導入が巧み。「今日気づいたが、満州国が存続してたら当然、国債を発行したり債券市場が開設されたりしたはずであり」という少し硬めの記述が、まさか「まんこくさい」と言いたいだけだとは思いもしなかった。しかも、だ。「まんこくさい」と言いたいだけなのに、「まんこくさい」と言い切らないこの卑怯さ。これはズルい。だが、ただズルいだけではない。「まんこくさい」の6文字を伏せるために書かれたのが、この100文字ちょうどのコメントである。*6 これは実に絶妙なバランスの上にあり、「まんこくさい」と言い切っても、あるいはもっと短い文のままに省略しても、この味わい深さは生まれなかったに違いない。

ところで、普段はどうにもわかりにくいジョークばかりをぶっこんでくるcider_kondo氏が、今回ばかりはどうしてこんなにも丁寧にネタを綴ってきたのかも気になるところ。そんなに「まんこくさい」言いたかったんだろうか。

 

 

 

はい。そういうことです。

別に3作である必要はなかったんだけど、結果的に3作になったというだけ。もっと数多く掲載するのは、誰か他の人に任せればいいだろう。だけど、そこに感じた面白みというのは人それぞれに異なるもので、それを書き綴るということはきっと私にしかできないことであって、私のブログはそういうことに費やしたい。どうしても私の選んだ他のコメントを見たいという奇特な人が万が一にもいたら、ブックマーク[ベストブコメ’18]タグを見てください。でもそうではなくて、ここには私の言葉で私の思いを綴ることにこそ意味があるんだと思うんだ。

 さて、この一年を振り返ってみると、はてな界隈での一番大きなニュースは、上でも挙げたhagex氏の事件だろうか。被害者・加害者ともにはてなユーザーであり、殺されたのは有名ユーザーでもあり、インターネットの狭い界隈ではかなりセンセーショナルに取り上げられた。有名ユーザー同士で交流のあった人たちには特にそうだろう。他方の低能先生は知る人ぞ知る人物に過ぎず、私もその存在は知っていはしたけれど詳しくはないし、増田の低能先生とブックマークでidコールしてくる荒らしが同一人物だとは思ってもいなかった。そんな低能先生を知りもしないくせに勝手に批判したり、あるいは同情したりする言説が増田では数多く飛び交っていた。明らかに間違いであるのに、反駁できるほどの情報が無いときのもどかしさよ。

もうひとつ大きなニュースは、はてなダイアリーと、はてなハイクの終了だろう。管理にコストだけかかって利益の見込めないサービスを継続するのは大変だろうことは理解できる。ダイアリーにははてなブログという後継サービスがあり、はてなハイクはそもそも利用ユーザーが少ない。企業の判断としては当然かもしれない。しかし、はてな社はいったいどこに行きたいんだろうという疑念は残る。はてなブックマークもリニューアルという言葉ばかりが歩き続け、しかし実態は機能の削減ばかりだ。RSSリーダーの開発においても目立った進展は発表されないままだ。現状で利益を押し上げているBtoBに力点を置いて、BtoCはこのまま縮小していくのだろうか。せっかく上場したのに独自ブランドを切り捨てて、下請け企業となっていくのだろうか。