2年目のマストドン雑感

いつの間にかMastodonが日本人に見つかって1年が過ぎていた。おそらくは突発的なムーブメントが起こらない限り、これ以上大きな動きはないんだろうなと思われる。つまりは、Mastodonが爆発的に広まることも、Twitterの代替となることもなかったということだ。とはいえFacebookだって忘れ去られた頃に再ブームが来て一世を風靡したことを思えば、まだこれからMastodonが来る可能性もないわけではないが、分散型であるために大きな資本によるMastodonのブームが起こされる可能性は極めて低く、まあ難しいだろうなとは。

最近のPawooの動向で言うと、昨年は活発に活動していた人たちがかなりいなくなったという印象がある。はじめから物見遊山のいつもの人たちではなく、熱心に活動していた人たちがいなくなった。日本語環境からまったく姿を消した人もいれば、Twitterに帰っていた人もいて、Discordにこもっている人もいるし、個人鯖に移った人もいる。Pawooのローカルタイムラインを構成する顔ぶれはだいぶ変わった印象が強い。*1
変わってどういう人が増えたのかといえば、Pixiv的な、絵を書く人たちが増えた印象がある。最近ではメディアタイムラインが常に動き続けている。Pawooにはそれだけ画像が投稿され続けているということだ。昨年の秋口に何度かPawooの人口が大きく増える動きがあり、Twitterでの絵師凍結騒ぎをきっかけに、Pawooを利用する絵描きが増えたようだ。それに伴って、というべきかどうかわからないが、公開範囲やNSFWの用い方でしばしば論争が起こるのもPixiv的だなと感じさせる。PawooがPixivらしくなっていることは、一年前の私の予想*2と合致する動きではあるんだけれど、しかしPixivに慣れ親しむことないままPawooのアカウントをメインにMastodonを利用している私にとっては、少し淋しいところもある。

PawooがPixivらしく移り変わっていると感じさせる一方で、インスタンスの垣根がとても低く、話題がすぐに伝播するのもMastodonらしさであり、とても良いなと思える。先のNSFW論争を私が知ったのは、JP鯖の人たちが自警団的なローカルルールの掲揚に反発しているのも見てのものだった。
JP鯖は、というのはつまりmastodon.jpのことを指すのだが、とても自由奔放に見える。おそらくサーバ管理者がユーザーに認めている自由さではPawooもJP鯖も大きくは変わらない。Pawooは企業運営とは思えない自由さをユーザーに与えている。しかし、Pawooにはどこか窮屈さを感じる人はおそらく私だけではないだろう。表現者にありがちな偏屈な人も少なくなく、上記のようにローカルルールを掲げる人もあれば、Twitterでのユーザーの振る舞いを揶揄する投稿も少なくない。閉じたコミュニティ内で*3他者を批難することで自らの結束を確認する女子中学生のような陰湿さを感じてしまう。そうでなくても、絵描きでない私が、イラストとは無関係なトゥートを繰り返していいものだろうかという後ろめたさも若干あり、時としてローカルタイムラインに緊張感がある。
他方のJP鯖は奔放だ。カテゴリーのくくりのない雑談鯖で、下ネタが多く飛び交う中、真面目な話を始める人もおり、もちろんそれが咎められることもない。Pawoo以上に多く罵倒が飛び交うが、それが冗談であることは誰の目にも明らかだ。まるで小学生男子ばかりが集まっているかのような賑わいだ。彼らは、特に頻繁に投稿をする人たちを中心に、オフラインでも頻繁に会っているようで、そこから漏れ聞こえる様子では、彼らが自嘲的に言う変態、KKOなどとは違って、少なからずリアルが充実しているように見え、ここにもまた一抹の寂しさがある。
個人運営の中小鯖は閉じていったものも少なくない。簡単にインスタンスを立てられるとはいっても、自分で一からサービスを作るのと比べて簡単だというだけであって、運営がさほど簡単なものでないことは容易に想像がつく。他方ざぼてくのように何故かユーザーを集める個人鯖も中にはあり、しかし集まったら集ったで運営はより大変だろうなと思うところでもある。さぼてくの鯖が落ちて書き込めないというトゥートもしばしば見かける。
なのでその苦労がまったくわからないでもない*4ので、ねことどん復旧気長に待ってますのでid:cj3029412さんは命を大事に。

*1:昨年のエントリー限界オタクとMasto.Host事件 - 殴る壁はトゥートを埋め込む形で書いたが、発言主のアカウントが消えてしまい、もはや白紙状態となっている。

*2:マストドン 雑感 - 殴る壁

*3:実際には閉じていない

*4:実のところはよくわかってはいないけれども