おいしい寿司を食べたかった

スシローに初めて行ったのは10年くらい前だっただろうか。こんなに安いのに、こんなに美味しくていいものなんだろうかと思った。そう思えたのはそのときだけだった。あれから数年に一度くらいの頻度でスシローに行くけれど、価格以上の価値を見出せないでいる。値段相応の量と味。比較的ゆったりとした席でのんびり食べられるので、家族連れには良いんだろうなあとは思うが、それだけだった。そして今日また久しぶりにスシローに行ったが、その評価は下方修正しなければならない。
もう少しくらい美味しかったような気がしていた。けれど今日食べた品は実に残念だった。特に白身魚は総じて酷かった。歯ごたえと脂味があるだけで、何を食べているのかわからなかった。私の中ではスシローと言えばサーモンという印象があるのだが、サーモンも美味しいとは言えなかった。
鯵は良かった。一切れが小ぶりではあるが、十分に肉厚で、しっかりと鯵の香りもしていた。あとは「とろけるねぎとろ天然本鮪」も良かった。150円皿なのに、出てきたのはほんの少しで、なんだこれは、これっぽっちしか乗せてこないで不味かったら許さないぞ、と思って食べたら美味しかった。
そう考えると、すべては価格なんだろうな。もう一皿100円ではやってられないということだろう。100円でも十分元の取れる安価な素材なら良いネタを出せるし、高価な素材でも相応の支払いが得られれば提供できる。でも、そうでない商品は、そうでないのだ。価格が据え置きなら、品質を下げざるを得ない。きっとそういうことなんだろう。
スシローが悪くなったのではない。ようやく我々はデフレを脱却しつつあるのだ。これはきっと喜ばしいことであるはずだ。はずなんだ。きっと。