googleには失望した。あるいはビッグデータなるものに期待し過ぎていたという話

ビッグデータという言葉が一般に使われるようになってもう随分経つ。マスメディアで盛んにその言葉が取り上げられるようになったのは2008年アメリカ大統領選挙からではなかったかと思う。言葉が広く伝わるに連れて、その指し示す意味は陳腐化し、NTTがビッグデータを活用してだとか、日立がビッグデータを云々とかいう報道を目にする度に、いや違うだろと心の中で突っ込み、時に心の声が漏れ出ていることもあったと思う。

それはビッグデータではないだろと思いながらも、企業がPR戦略として流行りの言葉で大言壮語を吐くことは理解できる。それとはまた別のところでビッグデータの収集、解析が進んでいるものだと思っている。そう信じてきた。なのにだ。

 

何らかの条件を達成すると、お小遣いが稼げると謳うリワードアプリは少なくありませんが、なんとGoogle公式で、簡単なアンケートに答えればGoogle PlayのクレジットがもらえるAndroidアプリ「Google アンケート モニター」が登場しました

Google公式、アンケートに答えるだけでお小遣いがもらえるアプリ登場 | アプリオ

 

googleがアンケートに答えるだけでクレジットを配るという。既に米では流通しているアプリの日本版とのことなので、そうした界隈に詳しい人にとっては何を今さらという話だろう。しかし、アンケートで、である。

 

 日本マクドナルド原田さん
「アンケートをとると必ずヘルシーなラップサンドやサラダがほしいと要望があって商品化したけども売れたためしがない。
ヘルシーなサラダでなくメガマックが売れる。
お客は言うこととやることが違うからお客の話を聞いてはだめ。」
アプリとか作るときの参考に。

宮澤 光太朗 - 典拠が明示されてないけど真理の突き方が面白いので紹介。【以下引用】 日本マクドナルド原田さん... | Facebook

 

tweetも見ることができず、本当にそうした発言があったのかもわからないものではあるが、一時期大きく広まった原田氏のもっともらしい言葉だ。消費者に直接趣向を訊ねることとの効果の低さは近年様々なところで語られてきた。何が欲しいのか顧客が気付くよりも早く作り出すことが必要だとジョブズは繰り返し説き、またFacebookは執拗なABテストを繰り返すことで滞在時間の長いデザインを築いていったと言われる。

もちろんアンケートというものそれ自体が無意味だというつもりはない。しかし、あのgoogle先生が、だ。私はChromeでも、日本語入力でも、先生の情報収集をひとつとして拒絶してこなかった。集めたデータがきっと今後のサービス改善に、新サービスの開発に役立つと信じてきたからだ。私にとっては屑のような情報も、先生なら何かに活用できるんじゃないかと信じていた。

それが、なんだ。アンケートだ。それも、専用アプリを作ってまで、おそらくは定期的に行うということだ。しかも、数分で終わるような簡単なアンケートで、1件最大100円分も支払うという。簡単なアンケートの対価としては随分と高額だ。拒否することもできる情報提供を私が惜しみなく提供することで、googleが何か報いたことがあったか。金銭的な報酬はもちろん、今だにパーソナライズも不十分なまま糞みたいな広告ばかりを表示し続けて、その改善の兆しさえ一向に見えない。

もしかして、googleは集めたデータを活用なんてできないのか。どれだけ多くのデータを集めたところで、そこから読み取れることなんて高が知れている。私には理解できない高尚な仕事を進める集団ではなく、彼らも普通のありふれた仕事をただちょっと効率良くこなすだけの人たちなのか。 そうか、また私は新しい技術に、それを生み出す人たちに期待し過ぎていたのか。

 

 

これは私がiPhoneを使っていてアプリを利用することができないことの妬みでは決してない。100円なんて欲しくないし、全然羨ましくなんかない。全然妬んでなんかいない。