正論で戦争が終われば楽でいいよねって話

そんな意図があるのかないのかしらないけど、イスラエルには馬鹿しか残ってないみたいな風に見えてしまって、ちょっとそれは違うんじゃないかと思うところがあったので書いていく。

 

お客様感謝デー - 北沢かえるの働けば自由になる日記

 

もう10年近く前にイスラエルに行ったときの話。私の会ったイスラエル人を仮にロイと呼ぶことにする。ロイは体の大きく、メガネを掛けて、無精髭を生やしたおっさんだ。どう見てもおっさんだと思っていたけど、年齢を聞くとたしかまだ20代で、今の私より若い。西洋人の年齢はわからないものだ。彼は大学院で考古学を学ぶ、ピンクフロイドを愛する青年だった。そのときは彼が私たちのチームのリーダーだったので、彼の指示の下で作業を行っていた。

イスラエルの小学校はちょっとおかしい。すべての小学校がそうではないのかもしれないけど、私が泊まっていた村の小学校は、私の目からはおかしく見えた。外からも見えるところに児童の描いた絵を貼り出している小学校は日本でも珍しくないと思うが、その小学校では貼られているのがどれも戦闘の絵だった。戦車や銃を持った大人が描かれていて、何かが爆発している絵もあった。きっとそういう教育が行われる土地なんだろう。
ロイも好戦的なところがあった。私がナザレかどこかで買ったターバン的なものを巻いていると、なんだ近田はテロリストか?ハマスに入ったのか?と煽ってくる。最初は冗談で言っているのかと思ったら、どうやら本当に嫌がっている様子だった。彼は日常的にも悪の代名詞としてハマスを挙げることが何度かあった。もちろん冗談めかして言うのではあるが、冗談では済まない嫌悪がたしかにあった。
だけど、徴兵の話になったときには空気が変わった。一緒に行っていた韓国人青年は去年徴兵を終えてきたところだという。イスラエルでも徴兵があるんだろ?ロイはもう終えたのか? そんな流れだったと思う。急にしおらしくなったロイは言う、俺は兵隊にはならない、と。どうやら徴兵の声がかかる度にうまく逃げてきているらしい。私はどういう条件で徴兵を免れられるのか知らないし、そこまでの興味もなければ、何より語学力がなかったのでそれ以上詳しい話は聞いていない。だけどいつものロイとは調子が違ったので印象深いできごとだった。

 

ここまで書いてから気付いたけど、これ何も元記事の反証にならないな。書き出す前の脳内ではもう少し整頓されてたんだけど、ただの思い出語りになってしまった。

 

私は当時からイスラエルにはあまり良い印象を持ってなくて、それが実際に行ってみたら、村は排他的だし、バスには軍人だらけだし、イェルサレムでは夜に銃声が鳴り響くし、日差しはキツイし、飯はマズいし、物価は高いし、マーケットはぼったくるし、行く前よりさらに印象が悪くなった。でも、だからって、「どうにもならなくなった人同士が殴りあっている感じ」というのはたしかにそうなんだけど、それでも何か無性に腹立たしくて、嫌なら日本を出て行けと言う愛国者様に感じるのと近いものを覚えて、いや、むしろそれよりも言っていることに筋が通っているだけに尚さら苛立たしい。

そうだよ、実際にイスラエルが悪いんだよ。あいつらが国連の調停無視してイェルサレム占領するから度々中東戦争が起こるし、今だにパレスチナ自治区に入植活動を進めている。何度とない「誤射」で民間施設を破壊し、PLO幹部を暗殺してきた。でも、それと同じことをずっとされてきた。こちらが手を止めても、向こうは構わず攻撃してくる。イスラエル国軍とは違い、組織化されていない民兵は調停などで攻撃を止めることはない。それでも自分は手を挙げるなというのは、まったくの正論だけど、それをできない奴を嘲笑うような言い様には腹が立つ。安全な土地だからそんなこと言えるけど、こちらがどんなに正義を貫いても、卑怯な攻撃をしてくるような奴らが相手だぜ。それで何人も仲間が死んでいるんだ。いや、まあイスラエルはそんなに正義を貫いたりはしてないんだけど。

日本でそんな事態が起こっても、私は海外に移住するか、テロリスト殲滅を誓うか、徴兵逃れを繰り返すか、自分がどうするか検討もつかない。