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NZ同性婚賛成派議員のスピーチへの賛美が気持ち悪い

まさか私が宗教右派を擁護するかのような文章を書くことになるとは思いもしなかった。

それほどまでに、この記事が、寄せられたブコメが酷かった。

 

 「地獄の温度が5000度なら、人は2.1秒で燃え尽きます」NZ同性婚賛成派議員が名スピーチ - みやきち日記

 

何が気に入らないって、同性愛者の人権を振りかざしながら、宗教家の人権を踏みにじって、あざ笑って、自身の残忍さに気付こうともしないこと。

私は同性婚には賛成だ。
それは同性愛者の当然の権利であって、同性でも異性でもなんら変わることはない。
同性愛者がマイノリティだから、よくわからない、気持ち悪いからといって、その権利を認めないことは不当だといえる。

ただ、一方の権利を立てれば、それはしばしば他方の権利を侵害することになる。
それが今回は宗教保守派だった。

彼らは、同性愛は不自然だと言う。
人間には男と女の性があるんだから、男女で愛しあうのが普通だ、と。
ここで自然というのは、神が定めたということだろう。
神が男と女を対で作ったのだから、それに従うのが当然だということだ。
だから彼らは同性愛、同性婚に反対する。
それは神の教えに反するから。

すると無知な同性婚推進派は言う、反対する人に同性婚を強要していない、誰の権利も侵害していないじゃないか、と。

しかし、これは信仰の話だ。
そして舞台はニュージーランド。
キリスト教社会では、結婚とは神との契約だ。
日本でもチャペルで挙式を上げれば、永遠の愛を神に誓うことになるかと思う。
そのとき、神と愛する二人を仲介する、というと不正確だが、その間に立つのが司祭だ。
だから、神の作った自然と反する結婚を、彼らは認めることはできない。

それだけじゃない。
神と夫婦との契約に自分も関わるから、というだけの問題ではない。
それは単に神と一夫婦の契約ではなく、神と人類との契約でもあるからだ。
神の教えに反した形で、人類が神に契約を求める。
宗教家にとってそれは恐ろしいことで、「他国に核戦争を仕掛けると宣言している」とか「わが国の農業を全滅させうるウイルスを持ち込もうとしている」どころではない脅威かもしれない。
神は既に人類を楽園から追放し、ノアの家族以外を大洪水で滅ぼしたこともあるのだから。

もちろんこれこそがキリスト教の見解というわけではなく、宗派によって異なるし、同じ宗派でも司祭によって考え方は違う。
しかし、少なくとも同性婚法制化に反対する宗教家にとってはそれほどの重大ごとなのだ。

にもかかわらず、NZ議員はその信心を嘲笑する。

どんな事項であれ利害の衝突は避けられない。
その妥協点を探り、融和を促すことこそ政治家の仕事だろうに、彼は一方を馬鹿にしてあざけり笑う。
それを見て、素晴らしいスピーチだ、と留飲を下げるはてな民たち。
ちっぽけな正義感が他者を傷つけていることに気付きもしない愚か者たち。